蛇かご用の耐摩耗性、耐候性に優れた高密度ポリエチレン被覆線です。
線材開発にあたっては、海底ケーブルの被覆材として実績があり自然環境に影響を及ぼさず、科学的に安定した素材”高密度ポリエチレン”を採用しました。海底ケーブルの厳しい使用環境から蓄積した開発技術や製造ノウハウに基づき、かご線材の開発を行いました。製品強度を高めるため芯線に高強度亜鉛メッキ鋼線を採用し、芯線を酸性・アルカリ性などの使用環境で生ずる腐蝕や、電気的腐蝕を防止するため、線材切断端部を防水加工し、芯線を外部環境から遮断する構造としています。
*使用用途・条件などに応じて、線材の選定が可能です。
*他に特殊品として芯線φ8.0外径φ13.0の線材があります。
*他に特殊品として芯線φ8.0外径φ13.0の線材があります。
亜鉛メッキ鉄線と蛇かご用PE被覆鋼線の構造・引張強度比較
*従来の線材の中で塩化ビニール被覆線、ポリエチレン被覆線もありますが被覆厚は0.3~0.5mmです。
芯線を保護する被覆の厚さは従来品の4~5倍で、推定寿命は約55年~65年です。
試験方法
・蛇かご製作のため、菱形金網に加工し加工性を確認する。
・部材枠線として直線加工し加工性を確認する。
・結束用コイルとして加工し加工性を確認する。
・蛇かご製作のため、菱形金網に加工し加工性を確認する。
・部材枠線として直線加工し加工性を確認する。
・結束用コイルとして加工し加工性を確認する。
目視判定により、加工時での蛇かご用PE被覆鋼線に対する損傷は無く、加工性は良好である。
試験方法
摩耗試験器の回転体に30cmの試料をUの字にして取付け、塩水と砂の混合物の中で試料を回転させ、試料の重量減少分から摩耗損量を算出する。
摩耗試験器の回転体に30cmの試料をUの字にして取付け、塩水と砂の混合物の中で試料を回転させ、試料の重量減少分から摩耗損量を算出する。
砂摩耗比較試験結果
試験36時間後
亜鉛メッキ鉄線
蛇かご用PE被覆網線
被覆線の推定寿命は、従来の亜鉛メッキ鉄線と蛇かご用PE被覆網線を今回の摩耗実験で比較すると約8倍の寿命の差が生じる。
36時間経過後の計算例
メッキ鉄線φ5.0mmの場合
摩耗損料(%)=摩耗した鉄線の重量÷試験前試料重量×100=(7.1(g)÷44.32(g))×100=16(%)
高密度ポリエチレン被覆線φ9.0mmの場合
摩耗損料(%)=摩耗したポリエチレンの重量÷(試験前試料重量-芯線重量)×100=(0.311(g)÷(44.17-28.76)(g))×100=2.15(%)
メッキ鉄線φ5.0mmの場合
摩耗損料(%)=摩耗した鉄線の重量÷試験前試料重量×100=(7.1(g)÷44.32(g))×100=16(%)
高密度ポリエチレン被覆線φ9.0mmの場合
摩耗損料(%)=摩耗したポリエチレンの重量÷(試験前試料重量-芯線重量)×100=(0.311(g)÷(44.17-28.76)(g))×100=2.15(%)
芯線径
被覆外径
最低推定寿命
6.0mm
11.0mm
約65年
4.0mm
9.0mm
約65年
3.2mm
7.5mm
約55年
最低推定寿命(年)=被覆ポリエチレン厚さ÷1年間の推定摩耗量(0.038mm)
1年間の推定摩耗量(0.038mm)
=港湾構造物設計基準における鋼材の腐蝕速度の標準値(0.3mm)×*1 砂摩耗量比較値(1/8)
*1 前述記載 砂摩耗量比較試験結果参照
1年間の推定摩耗量(0.038mm)
=港湾構造物設計基準における鋼材の腐蝕速度の標準値(0.3mm)×*1 砂摩耗量比較値(1/8)
*1 前述記載 砂摩耗量比較試験結果参照
ロングライフマリンマット、SGマットに使用される線材は芯材を高密度ポリエチレンで被覆し、芯材を水中、土壌などの腐蝕性環境から遮断してるため、まったく腐蝕しません。また、線材の端末部はシールされ完全に絶縁されているので、迷走電流による電蝕を防ぐことが可能です。
※迷走電流 電気鉄道の軌条(レール)からの迷走(モレ)電流などの直流電流が配管などの埋設構造物に流入、流出すると流出点に腐蝕が生じます。
※迷走電流 電気鉄道の軌条(レール)からの迷走(モレ)電流などの直流電流が配管などの埋設構造物に流入、流出すると流出点に腐蝕が生じます。
腐蝕性環境から遮断するために、すべて防水処理を施しています。
ロングライフマリンマット、SGマットに使用される高密度PE被覆線の被覆材料である高密度ポリエチレンは化学的に安定した材料なので、酸、アルカリ等の薬品に強く、酸性河川や酸性土壌においても腐蝕することはありません。
型式
硫酸
(10%)
(10%)
硝酸
(10%)
(10%)
塩酸
(10%)
(10%)
酢酸
(50%)
(50%)
水酸化
ナトリウム
(10%)
ナトリウム
(10%)
水酸化
カリウム
カリウム
水酸化
カルシウム
カルシウム
液体
アンモニア
アンモニア
塩化
ビニル
(軟質)
ビニル
(軟質)
◎
○
○
×
○
◎
◎
○
亜鉛
メッキ
鉄線
メッキ
鉄線
×
×
×
×
△
△
△
◎
ポリエチレン
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎:全く侵されず、実用に耐える。
○:若干作用を受けるが、条件により実用に供せる。
△:作用を受けるので、実用には好ましくない。
×:侵されるので、使用出来ない。
○:若干作用を受けるが、条件により実用に供せる。
△:作用を受けるので、実用には好ましくない。
×:侵されるので、使用出来ない。
高密度ポリエチレン樹脂は化学的に極めて安定した材料です。
試料を50度の5%硫酸液に浸漬し、経過時間毎の被覆、芯材の外観変化を調べた結果、被覆、芯材とも全く異常は見られず、芯材の破断強度も低下しない。
ポリエチレン被覆の外観変化
浸漬前
290時間浸漬後
芯材の外観変化
浸漬前
290時間浸漬後
ロングライフマリンマットの高密度ポリエチレンはカーボンブラックを添加することにより、耐候性を著しく改善しています。サンシャインウェザーメーターによる耐候性試験では8000時間経過後も、伸び残存率はほとんど変化しない結果が得られています。ウェザーメーターによる照射8000時間は、ほぼ40年の野外暴露に対応します。
8000時間経過後も紫外線劣化等は発生しません。
高密度ポリエチレン被覆線の被覆を除去した資料を製作し、下図の要領で水圧試験器にセットし、容器内を規定水圧まで加圧する。容器内の水が鋼線と被覆の間を走り、容器外の被覆端末から漏出するまでの時間を計測する。
試験概略
セット前資料
試験状況(水圧試験器)
試験結果
水圧(Mpa)
結 果
備 考
30
2時間経過後、水走り無しそのため水圧を1Mpaに変更し試験を続行
水深3000mに相当
1
240時間経過後、水走り無し。
水深100mに相当